とは申せ私にとってのオーディオでのフェーバーリットは真空管です。私の年代の皆様にとっても真空管はフェーバーリットであります。何せ当時はディバイスの全ては真空管でしたのでね。よって、私も皆様も真空管には独特の郷愁の念があるのだと思います。

 とは申せ私は今更真空管式パワーアンプは出そうとは思っていません。何せ私が出さなくても世の中にはいくらでもありますのでね。しかし、フリアンプとフォノイコライザーに関しては今後も作る予定にしております。やはり真空管式には親しみも感じるし懐かしさもある種良さも感じます。

 先日以前からお世話になっている真空管卸業者の社長から良い情報を得ました。それは優秀な12AX7(ECC83)があると云う事なのです。

 12AX7は市場にはいくらでもあります。しかし、何とも怪しい物が多いのです。そんな中でロシア製の物はいくらか信頼性を感じておりました。しかし、それを上回った物があったと云う事なのです。そんな事ですので再度真空管式プリアンプと真空管式フォノイコライザーの製作を始めようと思います。
 当時は我が国はほぼ完璧にアメリカ寄りの政策時代です。ギブ ミー チョコレート の時代は過ぎておりましたが何とも美味しくなかった脱脂粉乳はアメリカからただで頂いていた時代です。そんな事も影響していてアメリカ管には大変に寛大だったのかも知れません。

 このハンドブックは10数年前に近所にある区営図書館が放出した物で、私はただで手に入れました。私にとっては大変に貴重な物であると心得ております。

 下の写真に示した250も832Aも955も載っております。勿論2A3も載っております。しかし、300Bは載っておりません。恐らく資料が無かったのでは? と思っております。

 さてさて、300Bですが近年の言い回しで “神ってる” だったのでは? と思います。確かに直熱型三極管としては非常に優秀な特性ですので当然と言えば当然だと思います。しかし、私にとっては

 “優秀な特性=優秀な音”

 では無かったと云う事が私の300Bに対する感想です。その理由は何度も申し上げますが清々しい音を出さないからです。私は真空管式アンプに対しては清々しい音や抜けの良い見通しの良い音を求めます。その意味で300Bは私にとっては失格なのです。
 左の示す Ed も内部接続の四極管です。四極管の場合はサブレッザグリッドがありません。するとプレートからの跳ね返り電子により一定の条件下では効率が落ちてしまう欠点があります。しかし、何故かヨーロッパ管の場合はその現象が現れません。理由は解りませんが不思議な四極管なのです。

 実際に我が国で厄介な事があります。それはヨーロッパ管の場合に特性を現した文献が極端に少ない事なのです。例えば我が国で作られた真空管の多くがアメリカ管のコピーです。中には “超45” なる物もあります。しかし、先日の規格表をご覧になっても解りますように “何が超なの?” と思えます。

 右に示した “無線工学ハンドブック” にはアメリカ管日本管のほぼ全ての特性が掲載されております。しかし、ヨーロッパの場合は全く掲載がありません。恐らく資料が無かったのだと思います。

 このハンドブックは昭和38年発行です。東京オリンピックの一年前の時代です。
2017/5/1
 さて、300Bです。確かに300Bは他の直熱型三極管と比較しますと電気的データーは抜群です。しかし、中には “ヨーロッパ管も優秀だ” と言うお方も居ようかと思います。しかし、ヨーロッパ管の場合は実際には内部接続の四極管です。PX-4の場合は私は知りませんが私の秘蔵管のDA-30(PX-25)は内部接続の四極管です。私が好む音質のR-120も内部接続の四極管です。

 
 実物は写真の物です。50年程前に買ったスピーカーです。非常に薄いコーン紙でエッジ一体型です。非常に軽快な音だった記憶があります。しかし、低音はサッパリです。高域も足りなかった記憶があります。何せ非常に安いスピーカーでした。そこで遊びにと一本だけ買ったスピーカーです。当時500円か600円で買ったと記憶しております。

 しかし、このようなスピーカーがいち早く市場から姿を消してしまうのは淋しい限りです。
 さてさて、話を元に戻しましょう。

 その1ワットで充分だと言ったそのお方が作ったアンプは12BH7APPアンプでした。回路構成は恐らく初段は12AX7、位相反転も12AX7だと思います。すると方チャンネル3本で間に合います。

 12BH7Aは既に市場には非常に少なくなっておりますので探すのは少々苦労かと思います。しかし、6FQ7で代用可能ですので興味のあるお方は挑戦してみるのも面白いと思います。

 その清々しく爽やかな音が実は曲者なのです。理由はそのような音を再生するスピーカーシステムが非常に少なくなってしまっているからです。勿論近年の超重量級コーン紙、超低能率電熱器型スヒーカーシステムでは望むべくもありません。そのようなスピーカーシステムは300BPPアンプやKT88PPアンプで強力にドライブするのが最も望ましいと思います。

 私は実は昔々の軽快な低音を再生する超軽量級ウーハーを使ったモノラルシステムを作ろうと考えております。スコーカーには私がまだまだ若かった頃に買ったアシダボックスの16cmのフルレンジスピーカーを考えております。トゥーイーターはさすがに昔の物は駄目なんです。フォステックスが候補に上がっております。

 
 写真の物です。初段は6Z-DH3A。位相反転は同じく6Z-DH3Aです。パワー段は自己バイアス式のAB1級アンプです。出力は1ワットピタリでした。

 このアンプは適合するシャシーはありませんでしたのでシャシーも私が作りました。幅は500m/mとかなりの大物でした。

 肝心な音質はと申しますと、正に爽やかにして清々しい音でした。作ったは良いけど手渡すのが惜しかった覚えがあります。
2017/4/18
 久々の更新です。実は次なる新製品の開発をやっておりました。とは申せ思った程の効果が得られませんでしたので今回の開発は失敗でした。とは申せ次なる策を考えておりますので乞うご期待!

 さてさて300Bです。ここで私の本音を申し上げます。正直申し上げますと私は300Bの音は好きではありません。確かに実在感のある力強い音を出してくれると思います。しかし、何故か清々しさに欠けるのです。

 私はともかく清々しい音が好きなんです。その点で私にすれば300Bは失格なんです。そのように考えて見ますとプレート電流の多い強力なパワー管の場合は多くの場合にこの傾向を示します。その代表格はKT88でしょうかね。KT88もともかく優秀なパワー管だと思います。しかし、オーディオとは 性能優秀=音質優秀 とはなりません。

 KT88PPアンプはエレキベースアンプであれば大変に優秀だと思います。しかし、音楽を聞く場合はやはりPA用とすべきでは? と、思います。

 やはり私は2A3ロフチンホワイトアンプ・45シングルアンプなどの発する清々しく爽やかな音に魅力を感じます。とは申せ私はそれらのアンプを改めて作ろうとは思いません。理由は “納得行く真空管が無いから” なんです。2A3は何とも怪しげな物が多いのです。そこで本物と思える物を探すとある事はあります。しかし、とてもとても仕事で商売になる価格ではありません。

 45に至っては私の見る限り全て怪しいものばかりなんです。話によりますとアメリカに行くとまだまだあるとの事です。しかし、日本人と判ると売ってくれないとか? 解るような気がしますがね。

 昔パワーアンプは1ワットあれば充分だと言ったお方がおりました。そのお方のお名前は忘れましたが恐らく効率抜群のスピーカーを使っていたお方だと思います。とは申せ私も以前お客さんに頼まれて12APPアンプを作った事があります。
2017/3/30
 本日は手抜き更新です。
 熊本県にお住まいだった武末数馬氏は私が真空管式アンプの師と仰ぐ人です。残念ながら数年前に天に召されました。その武末氏はその真空管の最大の性能を搾り出す人でした。オリジナルWE300Bをシングルで作り何と15Wを実現した人でした。私も真似をしたのですが某国製の300Bでは12Wがやっとでした。

 しかし、これだけの性能があれば某国製の300Bでもプッシュプルで30ワット以上は楽々と出せると思います。とは申せ一般家庭でそこまでは不要です。そこで私の現在の答え

 “音楽を楽しむ目的であればパワーICで充分だ!” ですね。

 写真はPX25(DA30)です。私の秘蔵品です。既に出力トランスもカットコアー式の物を用意しております。そのカットコアー式の出力トランスは某メーカーに頼んだカスタム品です。皆様も希望があればお作りします。但し、安くはありません。仕方がありませんよね。

 アメリカの2A3に対してヨーロッパのPX4、アメリカの300Bに対してヨーロッパのPX25。私の秘蔵品はドーム型ですが恐らくドーム型の最終期の物ではないかと思います。その後はガラス管の形状は頭を絞って電極の保持型に変わりました。

 PX25は現在では模造品も出ているようですが何とも近代的なスタイルで私は欲しいとは思いませんね。

 と、云うところで長くなりましたので次回に続きます。
 しかし、ドライバー管は単なる6SN7のRC結合回路なのです。これを見ただけで判りますね。無理です。どう頑張っても無理です。恐らく最大出力として3W程度だと思います。要するにパワー管は正常に働いていてもドライバー回路がギブアップしてしまうのです。するとWEの91型アンプもいい加減なドライブを行っていた可能性があります。

 そのような意味で昔の直熱型三極管のパワーアンプはいい加減なアンプが多いのだと推測されます。ひょっとしてまともな測定はしていないのかも知れません。そのような意味で測定はやはり最低限の内容は測定すべきだと思います。その前に使う側ももう少し勉強すべきなのかも知れません。

 300Bの清々しい音が出ない原因はプレート電流の多さにあるのかと思っております。例えば前回申し上げた45のプレート電流は30~35mAです。それが原因して単なるRC結合でも清々しく見通しの良い音になるのかも知れません。この意見は決して私だけではありません。私の多くのオーディオマニアは45の音を誉めるのです。意見の内容は皆同じで清々しい音だと言うのです。

 それに対して300Bの音は誰も何も言いません。恐らく皆さん納得していないのだと思います。しかし、直熱型三極管としては電気的性能は抜群です。
 皆様も恐らく300Bで納得の行く音を聞いた事は無いと思います。ただし “300Bと聞いただけで良い音に聞こえてしまった!” と云う事は過去にはあったかも知れません。それは単に300Bへの憧れだったと思います。ここで300Bのドライブの難しさについてです。

 300Bはプレード電圧450Vの時にバイアス電圧は-97Vです。すると実質電圧は70パーセントとして67.9Vです。このドライブ電圧を稼ぐにはドライバー管に700V程度が必要です。一般的な電圧管ではそれを可能とする物は無いと思います。

 私は20数年前に変形俎板型300Bシングルアンプを作った事がありました。残念ながらその写真は残っておりませんでした。そのアンプのドライバー管には6CA7(EL34)を使いました。そのアンプは固定バイアス式で作りましたので仕方無しにドライバー管の供給電圧は450Vでした。やはり100パーセントドライブは無理でした。要するにバイアスの深いパワー管のドライブは大変に難しい事なのです。ここでまたまた横道です。それはUX845アンプについてです。

 数年前に本屋で845のシングルアンプのコマーシャルを見ました。そのアンプのプレート電圧はほぼ1000Vでした。するとドライブ電圧は約100Vです。
2017/3/25
 ここでもう一度 “私は過去300Bアンプで良い音を聞いた事がありません” 
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2017/3/23
 思い出した事がありました。それは45(245)シングルアンプが放つ音です。それは何とも清々しく見通しの良い音なのです。回路としては何の変哲も無い単なるRC結合です。入力管は12AX7に相当する物であれば何でもかまいません。アメリカ管であれば75、日本管であれば6ZDH7Aです。ユーロッパ管は知りません。

 45は2A3の半分のようなパワー管です。規格表では最大出力1.5ワットとなっております。しかし、一般的には1.3ワットがやっとです。原因はドイブ電圧にあるようです。何故なら45のプレート電圧は250Vです。するとドライバー管にも250Vとするのが普通です。もし、このドライバー管の電圧を300Vか、それ以上掛ければ恐らく1.5ワットが可能なのだと思います。

 と、考えるのが普通です。しかし、45のバイアス電圧は-50Vです。すると45のプレートには実際には300Vを印加する必要があります。この場合にドライバー段に印加する電圧を高くするためにフィルター回路での電圧下降を最低に設定して2~3V程度にしたとします。するとドライバー段の出力電圧はプレート印加電圧の10パーセント程度です。すると30V程度となります。

 この時に45のドライブ電圧は有効値で 50V×0.7=35V となります。足りません。1.3ワットしか出ない原因はここにあります。

 しかし、45シングルアンプで1.3ワットを実現する為には三種の神器が必ず必要です。測定器無しでは恐らく1ワットに満たない出力しか取れないと思います。要するに微妙な調整が必要と云う事です。

 この1ワット未満と1.3ワットの差は実に大きく現れます。例えばアルテック604に類するスピーカーの場合では一般的な家庭の部屋では充分に朗々と鳴ってくれます。しかし、1ワット未満となると時として腰砕けを起こします。

 と、云う事で私が素晴らしいと思った真空管式パワーアンプは45シングルアンプ、2A3ロフチンホワイトアンプ、OTLアンプです。では、300Bは?

 私は  “何が良いのだろう?” なんです。過去何台もの300Bシングルアンプもプッシュプルアンプも聞きました。しかし、どれもこれも良さを感じたアンプはありませんでした。あれであれば何も300Bである必要は無かろうと私は思います。

 しかし、不思議なのが300Bの場合はシングルで最大出力を求めれば15ワットは出ます。しかし、何故か大切に大切に使って6~7ワット程度しか出しません。理由を聞くと “300Bは大切だから” と言います。確かにその昔は大切な大切な貴重品でした。しかし、ここ30年程度の間は300Bなどいくらでもあります。石を放れば300Bに当たる位にあります。値段も当然千差万別、安い物であれば某国製ですかね。但し、某国製は何故か電極保持用の絶縁材とガラス管の接触点が茶色に変色するようです。何故でしょうね。恐らく真空度が低いのであろうと推測します。

 この真空度と電極の材質の関係は実に微妙なのです。何故なら金属は真空状態で加熱すると金属内部の不純物が噴出して来るのです。その不純物の関係で内部に茶色の変色を起こすのだと思います。すると某国製の300Bは時間の経過と共に最大出力は落ちる結果を招きます。それが原因で某国製の300B
の場合はいくら頑張ってもシングル動作では12ワットしか出ないのだと思います。。これは私が経験しましたので間違いありません。

 と、云うところで長くなりましたので次回に続きます。

余談ですが     No,3