2017/2/6  最終回
 私は10年程前に “過去の遺産で活きるべきでは無い” と思いレコード再生は止めておりました。その間に色々なエフェクター類の開発に励んでおりました。しかし、そんな時に遊び半分でリニアーICを使ってフォノイコライザーを作ってヤフオクに出してみました。持っていても仕方がありませんのでね。しかし、出して数時間後に売れてしまったのです。そこでもう一台作り再度ヤフオク出品です。するとまたまた数時間で売れてしまったのです。結果として相当な台数を売りました。

 しかし、フォノイコライザーを販売しておりながら私がレコードプレーヤーを持っていない訳には行きません。そこでレコードプレーヤーを用意する事に致しました。

 以前のプレーヤーは少々使い辛い物でした。ターンテーブルは35cm径で更に大きな鋳物製のテーブルの物でした。当然アームはロングアームしか使えませんでした。更に当時使っていたSME3012のような神経質なアームは使いたくありませんでした。プレーヤーはバラバラにしてヤフオクのお世話になり処分しました。

 私はプレーヤーは決して惜しいとは思いませんでしたがその時にレコードも全て親しい友人に差し上げてしまいました。後に “またレコード再生を始めるのならレコードは返す” と言われたのですがそういう訳にも行きませんよね。東京の片田舎の生まれとは言えとりあえず江戸っ子だと思っておりますのでね。

 そこで私の本来の計画は30cm径のリムドライブ式ターンテーブルと昔懐かしいオイルダンパーアームの組み合わせでした。しかし、私が求めたターンテーブルが見付からないのです。中古オーディオ店も何軒も当たりました。しかし、見付かりませんでした。そこでターンテーブルはとりあえず安物のダイレクトドライブの物で我慢してアームだけは希望のオイルダンパーアームをヤフオクで落としました。

 オイルダンパーアームは実は東京サウンドの物が欲しかったのですがついに見付かりませんでした。私の見付けたのは比較的見た目がスマートなグレースのG-745でした。しかし、当時のままの姿でしたので当然モノラル仕様です。極細のシールド線を使ってステレオ仕様に作り直して使用しております。

 オイルダンパーアームは皆様はシリコーンオイルを目一杯入れてお使いのようです。しかし、オイルを目一杯入れますと大変に使い辛い物なのです。そこで私の場合は半分程度入れて使っております。すると比較的使い勝手が良いものなのです。これも過去の経験が活かされているようです。

 さてさて、肝心なカートリッジです。オイルダンパーアームは動きが少々鈍いのできゃしゃなカートリッジには向きません。本来はDL103などに類する物が合っていると思います。しかし、オイルダンパーアームはシェルがありませんので針先の掃除が大変な事になります。そこで選んだのが何とシュアーのDJ用のSC35です。何せ丈夫です。

 この段階では音は期待していませんでした。しかし、いざ音を出してみてビックリです。その時の私の気持 “今まではいったい何だったんだ!” でした。何せ実に素直な音で滑らかな音なのです。とは申せレコードはほぼ完璧にまで綺麗に掃除しましたがね。ここでワンポントアドバイスです。 “レコードはともかく掃除が第一” です。何せレコードのパチパチ音はほとんど全て溝に入り込んだ砂埃ですのでね。

 オーディオとは大人の遊びですよね。当然趣味ではありますが、趣味とは平たく言えば遊びですよね。更にレコード再生となると今となったら贅沢な遊びですよね。しかし、その遊びはそれなりの知識が必要な少々高度な遊びですよね。ここで皆様に苦言です。 “もう少し勉強しなさい” です。余りにも知識希薄な人が多過ぎます。多くの人は高校なり大学を卒業しますと “これで勉強は終わりだ!” なんて思いますよね。しかし、実社会に出たら今度は本当の勉強に入るのだと思うべきなのだと私は思います。何せ本来の専門分野の勉強が出来る段階に登り詰めたのですからね。

 多くの人は卒業と共に勉強机を処分してしまいます。しかし、私は高校生時代に親から買ってもらった両袖のスチール机を処分しませんでした。現在でも使い続けて約50年です。時としてこの机に向かってお結びをかじりながら新規開発の設計図などを描いております。

 さてさて、世の中にCDが出始めて約40年です。最初の頃のCDの音は誉められた物ではありませんでした。しかし、その後CDも音質が安定して来て安心して聴ける時代になったと思います。しかし、何故か味わいを感じません。ここで面白い事に気付かされるのです。それはレコードをそのまま何もせずにCD-Rに落とすとレコードと同じ音で楽しめるのです。それも余りうるさい事を言わずに一般的なフォーマットである44.1kHzのサンプリングと16ビットのはしご型D/Aコンバーターでです。何もクロックにセシウムも不要ですし、多段ビットなど使わずにです。では、何故か?

 レコードメーカーではCDに写し替える時に何か余計な事をやっているのだと思います。レコードメーカーは普通はレコーディングエンジニアーは居ないものなのです。レコーディングエンジニアーはその都度雇うのです。するとレコードを回して何もしないでCDに写し替えたら手間賃の取りようがありませんよね。そこで調整卓を駆使したような真似をして余計な事をしているのだと思います。私に言わせれば “余計な事はするな ! ” なんです。

 そこで “では、再度私の部屋でレコードを再生しよう” もフォノイコライザーを開発した理由ではあります。

 確かにレコードはCDには無い何か耳当たりの心地良い音で音楽を奏でてくれるほのぼのとした音質を感じます。しかし、中にはひどい物も数多くあります。そのような場合に多くのオーディオマニアは我慢して聞いているのだと思います。しかし、私は嫌です。身勝手と言われようがわがままと言われようが私は我慢して音楽を聞きたくありません。何せ趣味とは遊びです。何も我慢して遊ぶ必要などありません。

 CDの録音には私は何回も同席しました。最終的には我々6人揃って我々のCDまで5枚も出しました。しかし、悲しいかな私は調整卓を使う腕はありません。そこでレコーディングエンジニアーを雇うしかありません。しかし、私らがいくら言ってもCDのフォーマットがあります。そのフォーマット内に収めなければいけません。その結果としてのCDでありレコードなのです。だったら “再生する側で引かれた物を足してやろうじゃないの” が私の意見です。その結果の SPF だったのです。

 しかし、実際には SPF だけでは足りない物も相当にあります。その結果の APC でもありました。SPF 開発コンセプトは “レコードであればSP盤でもLP盤でも全て満足行く音で再生可能” でした。確かに当初の目的は果たしたと思います。私は自家用で SPF 一台で全てをクリアーしております。少々使い方が難しいのが難点ではありますがね。

 私は恐らく今後も SPF 以上の物は出来ないと思っております。皆様ももう少し現実の録音を理解して、更に現実の録音の問題点に意識を向けて頂きたいと思っております。何も与えられた物をそのまま馬鹿正直に聞いている必要は無いと思います。 “反骨精神” 私は大切だと思います。

おしまい
 次回はレコード再生総論です。
 多くのオーディオマニアは “何も足さない、何も引かない” なんて事を平気で言います。しかし、現実にはレコードを作る側で足したり引いたりしているのです。レコーディングエンジニアーとしては聞き易い音にしている積りだと思います。しかし、音の好みは十人十色です。私に言わせれば

 “アンタの好みで勝手に音を作らないでよ!”

 なんです。

 作る側で勝手に音を作っている訳ですので聞く側では自分の好みに作り変えて当然だと私は思います。

 そのような意味でSPFはSP盤もLP盤も聞く側の好みの音を再生するフォノイコライザーとして作り上げました。
 左図はサウンドコントロールの特性です。これはターンオーバーの切り替えに似ていますが実際に使ってみるとその違いが良く理解されると思います。

 目的はSP盤は音質の範囲が大変に多岐に分布します。それらを全て納得行く音質で聞くためには色々なコントローラーが必要です。更にこのコントローラーはSP盤だけに限らずLP盤の場合も大いに役立ちます。

 LP盤の場合も個々の出来には相当な開きがあります。それらをほとんど全てに渡ってコントロール可能です。
 このSSFは急激な超低域を遮断しますので音声信号には全く影響を与えません。

 昔のプリアンプにはサブソニックフィルターが装備されていました。当時の目的はターンテーブルのゴロを抑えるのが主な目的でした。しかし、実際にはほとんど効果はありませんでした。理由はパッシブ型だったからです。

 フィルター類はパッシブ型(CR型)の場合は一段では当然-6dB/Octの特性になります。そこで-12dB/Octにしたい場合はこの時定数を二段重ねて二次の時定数にするのが普通です。しかし、これが実際には曲者なのです。CR型の場合は何段重ねても最大-8dB/Oct以上にはなりません。

 SPFの場合はアクティブ型ですので図に示すように急激に遮断しますので効果は抜群です。但し、SPFの場合は30Hz固定にしてありますので周波数の切り替えは出来ません。

 さてさて、次は サウンドコントロール についてです。
 この回路は昔はありませんでした。理由は不要だったからです。先ずはアンプがその周波数までレスポンスがありませんでした。更にスピーカーもその周波数までレスポンスがありませんでした。よって不要だったのです。しかし、現在はそう云う訳には行きません。

 更にSPFの場合はSSF(サブソニックフィルター)も装備しました。
 このコントローラーの目的は先ずはSP盤の反りによる不要信号の除去です。何せSP盤は反りの多い物が多いのです。LP盤の場合は少々反っていても回転が遅いので問題にはなりません。しかし、SP盤の場合は回転が速いので大いに問題になります。特にウーハーのダンパーやエッジの柔らかい場合は格別です。

 特筆すべきはタンノイです。私は以前タンノイを使っていた時期がありましたが、タンノイの場合はSP盤は勿論LP盤でも問題になる物がありました。皆様の中でタンノイをお使いの方は一度フロントネットを外してコーン紙の動きを確認される事をお勧めします。前後5m/m程度は平気で動きます。

 この場合に何が問題かと申しますと超低域で音が振られるのです。場合によっては言われなくては解らない場合もありますが注意して聞きますと明らかに解る音の振れです。
2017/1/26
 下図は超低域のコントローラーです。
 このコントローラーを動かしますとレコードとはいかに勝手な音で音作りされているかが良く解ります。多くの場合にハイカット周波数を高い方に回しますとハッキリとした音になります。要するにボーカルが人の本来の声に近くなるように感じます。物によっては素晴らしい声になります。恐らく中音域がハッキリとして本来の人の声質に近付くのだと思います。

 逆に低い方に回しますと怠けた声になります。余り聞きたくない声です。この音は何故か近年のあり得ない音を再生する最近のスピーカーシステムの音に似ているようです。

 私の場合はこのコントローラーを多用しております。実に楽しいコントローラーだと自負しております。

 次回は LOW CONTROL についてです。 
 この回路は実に便利に使えます。何せ SP 再生と LP 再生がワンタッチで切り替えられます。SP を再生する場合は基本的には  はOFFです。

 LP を再生する場合はこのスイッチをONして周波数は3kHzにしますとRIAA特性となります。但し、写真は試作品ですのでLP表示はありません。これは自家用として使っております。

 この時の特性を表します。しかし、現実には必ずしも3kHzにセットする必要はありません。むしろその都度調整して納得の行く音質で聞ける位置に調整しますと各々のレコードが楽しく聞けます。
 本日は ↑ のハイカットコントロールについてです。 はそのON-OFFスイッチです。
2017/1/6
 本日はハイカットコントロールについです。
 今回久しぶりに針先を写真を撮るのに苦労したのはデシケーターの蓋でした。私はカメラやレンズの保存にデシケーターを使っております。勿論密閉する為には白色ワセリンを塗って密閉しております。

 そのワセリンが冬場には硬くなってしまって蓋が開かなくなってしまうのです。今回は正に真冬です。そこでファンヒーターを利用して暖めました。結果は見事成功です。デシケーターが暖まるまでに約20分。見事開封成功でした。

 やっとの思いで接写リングを取り出していざ接写です。しかし、接写は実に難しいのです。三脚を使おうにも三脚にカメラを固定してしまうと被写体を探すのが大変なんです。何せ接写リング三枚かさねですので焦点距離は数センチもありません。そんな理由で上のスタイラスの写真は手持ち撮影です。

 方法は何枚も何枚も撮るのです。その中から比較的まともな写真をチョイスです。これはデジカメの大得意とする方法ですね。
 私は25倍のアイルーペを使っています。アイルーペは倍率が大きいし、更に目の傍で見ますので針先がハッキリ見えます。その針先の汚れをファインカッターで削り取ります。

 この針先の汚れはブラシなどでは落ちません。何せビッシリとこびりついております。実はこれが曲者なのです。何故なら多くの人が針先の汚れが原因で音が歪んだとは思わないからです。

 現実には多くの人が “針が減った” と思ってしまうのです。そこでメーカーに針交換に出します。私の思いますにメーカーは針先を掃除して数万円の交換費を頂いているのだと思います。何せ塩ビとダイアモンドの摩擦ではダイアモンドは絶対に減りません。

 このように針先を綺麗に掃除しますと再生音は新品の状態に蘇ります。皆様も是非ともお試しあれ!
ファインカッター
アイルーペ
 絶対条件は針先のお掃除です。この場合に絶対にやってはいけない事は溶剤を使った洗剤による針先掃除です。理由は接着剤で貼り付けられたダイアモンドが取れてしまいます。場合によっては針先全てが無くなってしまう場合もあります。そこで私の方法をご紹介します。
 新春早々この写真を撮るのは少々苦労しました。

 方法は一眼レフカメラ50m/mの標準レンズを取り付けて、更に接写リングの三枚かさねです。
シュアーM44用SPスタイラス
シュアーM44用LPスタイラス
2017/1/4
 先ずはレコード再生の絶対条件から。
 モジュラー型ステレオなんて名前を出しても “なんだ、そりゃ?” なんてお方も居られるでしょうね。昔の一体型のステレオです。ターンテーブルは16cmでアームはプラスチック、装備されていたカートリッジはターンオーバー型のクリスタルカートリッジです。そのカートリッジは片やLP、片やSP再生用と云うLP・SP両用型でした。鉛筆の泥棒削りのような発想の構造でした。問題はその針圧です。

 我が家にあった物は少なくとも50g程度はあったと思います。そのタイプの装置で散々酷使されたSP盤の場合は音溝の上の位置に大きなダメージを受けていると思われます。しかし、その接触部分の下はダメージは受けていない事になります。よって、SP盤とは言え何もSP用針先を装備したSP専用カートリッジは使い勝手が非常に悪いと云う結論に達する事になります。

 ここでオーディオマニアの “こだわり” の問題が浮上する結果となります。多くのオーディオマニアはカートリッジにMC型を使います。理由は簡単です。それは “高い物は良い物だ!” です。何せオーディオ評論家なるペテン師連中は高い物ばかり褒めます。恐らく袖の下が物を言っているのだと推測します。オーディオマニアはこれまた余り利口ではありません。するとイカサマ評論を信じてしまうのです。要するに狐と狸のような間柄でしょうかね!

 少なくともSPレコード再生も行っている方々の場合はオーディオマニア的こだわりは捨てるべです。要するに “LP・SP用針先交換可能なカートリッジ” を使う事によりかなりの部分でノイズ解消となるのです。

 次回に続きます。
 SP盤の各針先のトレース状態の想像図です。恐らくこのようなものだと推測しています。

 SP盤再生用の鉄針の先端は非常に鋭く一般的な縫針とほぼ同じです。すると音溝のほぼ底を辿っていると想像されます。針圧100gもの蓄音機で掛けた場合には音溝のほぼ底にダメージを与えていると考えて間違い無いと思います。

 すると蓄音機のみで再生されていたSP盤の場合はその上の位置をトレースするLP用の針先で問題は発生しない事になります。

 しかし、ここで問題が発生します。それはモジュラー型ステレオに装着されていたクリスタルカートリッジで掛け捲られたSP盤の音溝の状態です。
SP盤音溝
SP用針先の接触点
LP用針先の接触点
鉄針の接触点
2016/12/26
 SP盤の溝の想像図です。
 この写真はレコードをお掃除するための説明用に撮った物です。それで中性洗剤を極薄く溶いた液とアイルーペが写っている訳です。このようにお掃除しますとパチパチと言う針音はほとんど無くなります。実はあのパチパチ音はレコードの傷では無く溝の奥に入り込んだ砂埃なんです。皆様も是非お試しを!
 左の写真は私の手作りの針圧計です。昔持っていたグレースの物を模写して作りました。天秤の左側に一円玉を乗せます。スタイラスは勿論右側に乗せます。当然針先が正確な位置になるように溝を作ってあります。

 写真のカートリッジはシュアーのSC35です。最大の安物です。何せ元もとの目的がDJ用なんです。丈夫さは折り紙つきです。で、音は?

 全く問題ありません。それどころか余計な音を出しませんので使い易さ抜群なんです。

 このカートリッジにした目的は使っているアームの関係です。何せオイルダンパーアームはシェルがありません。要するにカートリッジが簡単には外せません。すると針先のお掃除が出来ません。当然針先が取り外せるMM型が必須条件です。

 とは申せこのターンテーブルはSPが掛かりません。よって、SPを聞く時は別のプレーヤーを持ち出して聞いています。

 SPを聞く時のプレーヤーです。恐らく50年程前の物だと思います。30年程前に知人から貰った物です。駆動はリム式です。SPレコード再生を始めようと思った時に押入れの奥から引っ張り出しました。。

 流石に最初はまともに回りませんでした。しかし、油を注してしばく手で回しておりましたら正常に回るようになりました。このような軽負荷の物に対してはミシン油が最も適しております。

 カートリッジはこれまたシュアーのM44です。但し、シュアーからはSP用の針が出ておりません。そこでJICOから出ているSP用の針を使っております。ところが、ところがなんです。で、それは?

 ダメージの軽いレコードは何もSP用の針を使う必要が無いのです。LP用の針で全く問題無く使えるのです。

 但し、ダメージの大きいレコードの場合はLP用は勿論SP用の針でもノイズが多くて聞けたものではありません。そこでそのようなレコードでも納得の行く音で聞いてやろうじゃないか! と、なった訳です。

 その結果の冒頭の APC であったり、最終的には SPF となったのであります。

 続きは次回
 写真の出来が悪いのはご容赦願います。やはり写真は炎天下で撮るべきだと思います。この写真は少々手抜きして作業机の上での写真です。無理がありますね。

 ピックアップの針圧は102gでした。で、はかりの精度は?

 そこで一円玉6枚を乗せてみました。1g以下は判りませんが正確のようです。何せこのはかりはキッチンはかりですのでこの程度で充分だと思います。

 ここで感じる事は我が国の造幣局の作るコインは正確なようです。よって、私の手作りの針圧計も充分に使い物になる事が証明されました。
2016/12/23
 写真は貰った蓄音機です。写真の目的はピックアップ(サウンドボックス)の針圧を調べるためです。
 その後安物の蓄音機を貰って来たのですが当然駄目です。そこで古い古いレコードプレーヤーを持ち出してSPレコードを聞き始めました。フォノイコライザーはa5でした。a5は録音状態の良いSPレコードであれば充分な音でなってくれました。しかし、多くの物が駄目なんです。そこで私の得意とするエフェクター内臓のフォノイコライザーを作ったやろうと云う野心にかられたのです。

 続きは次回
 左の写真がそれです。蓄音機ではありません。カートリッジはマグネチック型です。針は鉄針でした。アンプは250のシングルアンプでした。で、音は?

 ショボイ音でした。何せフォノイコライザー回路が無いアンプだったのです。私はスピーカーだけ残してその他は現代的な物に作り変えようとも思ったのですが流石にエリオット・ネスの時代の物はスピーカーもショボイ音でしたので諦めました。そんな理由で処分しましたので現在はありません。

 ここで面白いお話ですが蓄音機から電蓄になった時代は最初は “蓄音機の方が音が良い” なんて事が言われたそうです。

 更にSPからLPに変わった時も “SPの方が音が良かった” なんて事も言われたそうです。現在のCDも最初は同じような事が言われました。それが何故か現在でも同じ事が言えそうなんて事も楽しいお話だと思います。
2016/12/21
 ここで改めて何故SPFなるフォノイコライザーを開発したのか? 原点に返って申し上げたいと思います。それは

 “過去SPレコードを満足する音で聞いた人は居ないであろう” だったのです。確かにクレデンサに類する蓄音機は素晴らしい再生音だと思います。しかし、あくまでも限られたジャンルに対しては素晴らしいと私は思います。しかし、その “限られたジャンル” の幅が余りにも狭いのです。室内楽・ボーカル物程度だと思います。

 そこで私はSPレコードを満足行く音で聞いてみたいと思ったのが最初です。何せ私のオーディオの原点はペギー。葉山の歌う “南国土佐を後にして” ですのでね。

 実はSPFに至るまでには色々と作りました。その前は何と1934年製のエレクトローラでした。
 左の図はLPレコード用のイコライザー回路の概略図です。勿論この回路はNF型イコライザー回路の物です。

 R2はカートリッジの負荷抵抗です。MM型の場合は多くの場合に47kオームのようです。MC型の場合は多くの場合に1kオームのようです。

 R1はイコライザー全体の増幅率を決定します。

 R3とC1はターンオーバーを行います。要するに中音の場合はC1を通過します。しかし、周波数が低くなりますとC1の抵抗値が大きくなり、その時点でR3との合成値でターンオーバー特性となります。この場合にR3がありませんと必要以上に増幅率が大きくなってしまいます。それを抑える役目もR3は果たします。

 高域に関してはR4とC2が作用します。周波数が比較的低い帯域ではR4が大きく作用して増幅率は大きく作用します。周波数が比較的高くなりますとC2の抵抗値が低くなり帰還量が増えて来ます。これがロールオフ特性です。

 この特性が昔は各社各様でした。現在は全てRIAAに統一されておりますので基本的には全て同じです。しかし、マッキントッシュ型とマランツ型では実際には差があります。マッキントッシュ型は何故か低域寄りの特性になります。しかし、これは個人の好みの問題ですので是非は付けられません。
C2
C1
R4
R3
R2
R1
 SPFは中高域の特性の可変機能を持たせました。基本的な目的は中高域が妙にモヤモヤした録音や、妙にキツイ音でキンキンと鳴るレコードがありそれらを聞き易くする為の機能です。

 図はSP再生用のロールオフ回路を入れなかった場合の特性図です。

 勿論このエフェクターはLP再生用の特性にした時でも同様に利かせる事は可能です。

 とは申せグラモフォン録音のようなホールの響きを大切にした録音をデッカ・ロンドンのような各楽器が放つ音を大切にした音にはなりません。その逆も当然無理です。

 グラモフォンの場合はコンサートホールの雰囲気を楽しむための録音であり、デッカ・ロンドンの場合は各楽器が放つ音その物を楽しむための音質であり、聴く側もその心構えで聴くべきだと思います。

 私の場合は若かった頃はデッカ・ロンドンの音が好きでした。しかし、歳を重ねた現在は何故かグラミフォンの音質が好きになりました。やはり音楽は音楽として楽しむ事も大切なレコードの聴き方なのだと思い始めた現在です。

 このエフェクターは当然各レコードの録音状態により切り替えて使います。とは申せポピュラーのベスト盤の場合はそれぞれ一曲づつ音作りが違いますので少々忙しくはなります。

 ここでLP用のイコライザー回路とSP用のイコライザー回路について少々説明しましょう。
2016/12/12
 いよいよサーバーも決まりましたので当ページの再開です。今回はサウンドコントローラーについてです。
 SPF の場合はカートリッジの増幅率として 20~60dB の5段階です。目的は上述でお解かりになったと思います。これは実際にお使いにならないと解らないと思います。ここで問題が発生します。それは多くの皆様が自分の使っているシステムは標準的だと考えている事です。その点私のシステムはスピーカーシステムが4台です。当然パワーアンプはそれと同じだけ持っております。すると多くの場合にそれなりの鳴り方で鳴らしております。

 パワーアンプは全部で10台ですが小さい物は3ワットから大きな物でも50ワットです。最も能率の悪いスピーカーは恐らくダイアトーンP-61Aだと思います。それでも恐らく90dB程度はあると思います。何せ改造してしまっておりますので正確には判りません。

 私のシステムの場合はプリアンプも増幅率は可変ですので少々特異ではあります。しかし SPF はなるべく MMポジション である40dBにして使っております。しかし、プリアンプの増幅率は-20dBで使ってはおりますがね!

 ここでまたまた余談です。現在テレビでコマーシャルしているジャズレコードのシリーズ販売の物です。第一回の配本は何と990円です。今回の内容はマイルス・デービスです。買ってみました。古い録音ですのでそれなりの音質ではあります。しかし、エキスパンダーを効かせますとそれなりに納得行く音で鳴ってくれました。第二回目配本は1980円で15回シリーズのようです。第二回配本はコルトレーンだそうです。三回目はビリー・ホリディだそうです。

 私は以前、ビリー・ホリディは男だと思っておりました。何せ名前もそうだし声も正に男の声だとばかり思っておりました。しかし、話によりますと数奇な運命を背負った人生を送ったとか? 私は良く知りせんがまた調べようとも思いません。何故ならビリー・ホリディは余り好きではありませんのでね。

 次回は SPF のサウンドコントローラー についてです。
 近年はこのようなグラフはほとんど見られません。何故発表しないのでしょうね。恐らく近年のスピーカーシステムの能率の悪さを公表したくないのでしょうね。

 近年のスピーカーシステムは80dB台の物が非常に多いですね。例えば85dBとなると変換効率として0.06%です。当然ほとんどのパワーは熱として放出されてしまっている事になります。

 ここで警告です。それはネットワークシステムの場合の効率です。多くの人がホーンシステムは高能率だと考えているようです。しかし、ウーハーの能率は実際にはそれほどでもありません。当然高能率のホーンもウーハーの効率に合わせます。すると当然能率を殺している事になります。よって、ネットワークシステムの能率はウーハーの能率であると云う事になります。
2016/10/4
 
2016/9/29
 カートリッジ負荷可変のツマミの左にあるツマミは増幅率可変のツマミです。SPF の場合は 20・30・40・50・60dBの5段階としました。10dBステップです。10dBとは約3倍(正確には3.16倍)です。一般的には MM型カートリッジ の場合は40dB(100倍)で使います。 MC型カートリッジ の場合は60dB(1000倍)で使うのが普通です。しかし、これは何も決まっている訳ではありません。現在お使いのシステムの入出力効率の関係で使い易い増幅率で使って頂きたいと思います。

 実はこの各システムの入出力効率が少々曲者なのです。理由は比較的昔の真空管式パワーアンプです。昔はプログラムソースとして多くはレコードでした。その場合に例えば MC型カートリッジ を使ったとします。その場合に MC型カートリッジ の多くの物が出力電圧 0.3mV です。それを1000倍に増幅したとします。するとその時の電圧として0.3Vです。その0.3Vをプリアンプのフラットフアンプで約10倍に増幅したとします。すると3Vです。この場合にマージンを1/10程度としたのが普通です。すると昔の真空管式パワーアンプは入力電圧として0.2~0.5V程度で最大出力に達する設計の物が大変に多かったのです。

 この場合に昔のプリアンプ、パワーアンプをそのまま使っていればレコード再生には支障はありません。しかし、CDを再生しますと余りにもバランスが悪くなってしまうのです。ユーザーとしてはプリアンプのボリュームを下げて使うしかありません。現実的にはそこに問題もあるのです。それは一般的なボリュームは回し始めと回し終わりの部分のバラツキが多いのです。すると最悪の場合に片側の音が出なくなってしまうなんて事も起こります。

 更に問題があります。それはスピーカーの能率の問題です。次回はスピーカーの能率についてです。
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 この APC にはフォノイコライザーは装備しておりません。理由は余りにもコントロールの内容が多過ぎましてフォノイコライザーの入るスペースが無くなってしまいました。その代わり入力を3回路設けレコード以外のライン入力に対応させております。

 この APC の開発目的は主にSPレコードです。SPレコードは実際には素晴らしい音質の物もありますが許せない音質の物まで千差万別です。しかし、当時の海外製の物には素晴らしい音質の物が多くあるようです。やはり当時の国力の結果だったのではと思っております。

 ここで非売品の物を説明しても無意味ですので SPF について説明します。

 先ず今回は右のツマミからです。カートリッジの負荷抵抗の調整です。最低は1kΩです。この値は私自身過去に色々な値で色々なカートリッジで試しました。その結果1kΩ以下の値は無意味だったからです。1kΩは勿論MCカートリッジ用です。実験の結果1kΩ以下にしますと単にカートリッジの出力電圧が下がってしまうだけに留まらず高域の繊細さが欠けてしまうのです。オルトフォンタイプのMCカートリッジの場合は1kΩ程度が最も素直な音に仕上がります。しかし、これはスピーカーシステムの音質と大いに関係します。

 例えば高域にピークがあるようなスピーカーシステムの場合はそれ用のコントローラーを入れておりますので SPF を使っていればスピーカーシステムの音質に充分対応しますので、その辺の事も考慮の結果の SPF なのです。

 次回に続きます。
 これは非売品です。理由は何せ作るのが大変なんです。もし、販売するとなると10万円台となり販売には少々向かないと思えるからです。やはりオーディオ機器は皆様が問題なく小遣い銭程度で買える物でなくてはいけないと思うからです。何せオーディオ機器は家庭内では何の役にも立ちません。単にそちらに趣味を持ったオヤジ達のオモチャでしかありませんからね。
2016/9/24
 SPFの開発目的は基本的には自家用でした。要するにこれ一台で全て済むようにです。当初の目的は果たしたと考えております。何せこれ一台でSPレコードもLPレコードも再生可能です。更なる目的は問題ありのレコードもそれなりに聞けるようにする事でした。その為に写真のようなデザインになったとお考え下さい。

 私に言わせれば昔は当然ですが現在の録音も問題あり過ぎです。しかし、聞く側としては余りにもひどい録音はお金を出した側としては許せません。しかし、代金を返せとは言えません。そこで聞く側で出来る事はある程度聞ける状態にコントロールする事しかありません。その結果のSPFでした。

 実はSPF開発前にもう一台開発しておりました。それはAPCです。意味は オール ポッシブル コントローラー です。実物は写真です。
73.000.-(電源ケーブル不含)

SPF開発秘話